気分で人を殺しました 影響されやすく感情で判断(産経新聞)

【キブンの時代】第1部 考えはどこに(4)

 「誰でもいいから殺したい気分です」「私のすべてを否定されている気分です」

 平成20年6月、7人が殺害された東京・秋葉原の無差別殺傷事件。殺人罪に問われた被告、加藤智大(ともひろ)(27)が、犯行前にインターネットに書き込んだ言葉だ。

 「キレる」という言葉でくくられることが多い加藤の犯行。しかし、犯行に至るまでの心に「殺したい気分」の堆積(たいせき)があったことがうかがえる。

 気分によって引き起こされる犯罪がある。犯罪心理学者で精神科医でもある作田明(59)は「秋葉原の殺傷事件とは明らかに異なるが」と前置きした上で、「少年非行の中に、『その場の気分、感情、感覚』が動機となる犯行形態がある。専門家の間では『遊び型非行』の一種として分類されている」という。

 北関東のある県の公立中で最近、集団万引が発覚した。同じクラスの男子生徒3人が、駅近くの大規模店舗で電化製品を繰り返し盗んでいた。

 「店員が少ないから簡単」「きょう盗んだのはこれ」。自慢話が友人らに伝わっていった。1人の補導を端緒に芋づる式に犯行が発覚。女子生徒を含む10人以上が万引にかかわり、盗んだ品を自慢し、交換しあったりしていた。

 過去に問題行動はない生徒たち。泣きじゃくるばかりで、周囲が納得できる動機は聞けなかった。

 経緯を知る県警幹部(54)は「同様の非行は昔からあるが、まさに気分による行動。個人個人は善悪の判断ができるのに、集団になると変な雰囲気が生まれ、広がる」と話す。

 元裁判官で、神戸児童連続殺傷事件(9年)など約6千件の少年審判を担当してきた弁護士の井垣康弘(69)は、「少年院へ送られる少年は、年間に検挙される少年(20年は約13万4千人)のうち3、4%。それ以外は大ざっぱにいうと遊び型非行だ」と指摘する。非行歴もなく育ちもいいのに、何となく非行に流されていくのだという。

 井垣には神戸家裁時代にこんな経験がある。

 万引で検挙された中学2年の少年。「非行性は進んでおらず、遊び型といえる犯行。しかし、少年を取り巻く環境などを調べた調査官の意見は『初等少年院送致』だった。在宅処遇にすれば、仲間から誘いを受け、また非行に走るという理由からだった」

 「少年院送致まではしなくとも」と考えた井垣は、仲間から少年を離すため、親と相談の上、鹿児島へ転居させた。

 周囲の雰囲気に付和雷同しやすい少年が、友人らからの誘惑によって再犯に走る姿を何度も見てきたからだ。

 犯罪心理学者の作田は遊び型非行の増加について、「昭和50年代くらいまでの非行には、貧困を背景にした金銭的な動機がみられた。日本が豊かになればなるほど、社会から道徳が廃れるほどに、軽い気分で犯行をする形の非行が増え、その傾向が最近も、年々強まっているのではないか」とみる。

 17年の犯罪白書に作田の見方を裏付けるデータがある。白書は少年院の教官を対象にした調査をまとめている。

 それによると72%の教官が「最近、処遇困難な非行少年が増えた」と回答。理由として「善悪の判断ができないというより、感覚、感情で物事を判断する(少年が増えている)」と回答した教官が6割と最も多かった。

 「比率を増す『気分で犯罪』への対処に苦慮している」。現場を知る作田はため息をつく。(敬称略)

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